「【絵画】と【生き延びる】 加茂昂 個展」を見てきました。


女装の私が3331にあるisland MEDIUMで開催されている「【絵画】と【生き延びる】 加茂 昂 個展」を見てきました。加茂さんは「バグ」をテーマに制作をされている作家です。キャンパスとキャンパスの間を色のストライプでつなぎデータ転送のバグを表現したり、Windowsのバグでよくありがちなウィンドウが無限に開くイメージを何枚もの絵を使って表現されています。今回の展示では、「目路」というタイトルで、絵の中に目に入る全てを表現しています。「バグ」はこの一枚の絵の中に表現されています。


「バグ」は、そこに存在している実際と、自分が見て頭で処理してイメージするものとの小さなズレや違いを意味します。つまり自分が見ているものは実際とは違う、ほんとうではない、間違っている、思い込みである、といった自己否定に近づきます。たいていこうしたズレは「しようがない」といった諦めや「自分は自分」と言う自己主張や「現実の方が間違っている」現実逃避によって、捨てられます。しかし加茂さんは、自分にとても厳しい。「バグ」を認め、想像し、表現しています。

雪山の作品がとても印象的でした。山にのぼった事のある人ならわかると思う。険しい山を登ると人は周りが見えなくなります。少なくとも私は。足元を中心とした半径1mにも満たない範囲を「山である」と記憶します。するとどうなるか。今回の個展で展示されている雪山の作品のように認識が「バグ」ります。この作品は極端な例です。「日常がバグる」感覚の入り口。加茂さんは鑑賞者に優しい方です。たぶん。


「去年の3月、僕の日常がバグった。」※〈作家ステイトメント〉より とは誰もが感じていて、このバグを諦めや自己主張や現実逃避で解消して生きてきた人も多いでしょう。そして、それにストレスを感じ続けてきた人もいるでしょう。この展示を見れば、あの日以降の生き方のひとつ、選択肢のひとつが手に入るかもしれません。

違いやズレを認め伝えることから始まります。そういう生き方。(私だってそう)

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【絵画】と【生き延びる】
2012年3月1日(木)~2012年3月25日(日)
会期中のイベント : 『焚き火』 2012年3月18日(日)12:00~
定休日 : 月・火 入場料 : 無料 

※上記の写真は以下のサイトより引用いたしました。